《接触の形跡》
空間 Ku- kan(札幌)
個展
2026
《Trace of the Contact》
Ku- kan(Sapporo)
Solo Exhibition
2026
「空間」では環境音と身体の関係を作品化してきた宮本一行の個展「接触の形跡 #02 / Trace of the Contact」を開催いたします。
宮本一行は、サウンドスケープと身体に着目する芸術家・研究者です。サウンドスケープとは、環境の音を単体で個別に対象とするのではなく、一つの総体=風景として捉え直す考え方と言えます。一方で、サウンドスケープをめぐる実践や聴取の場面では、「観測者は音を発しないもの」とされがちな態度も見られています。そのため、宮本は「人間が観測者であり、行為者でもある状況」を意図して作り出し、環境との「身体的な対話」を試みます。
本展では、会場である「空間」内部において、一定の力が加わると床板が軋む地点を調査し、それらの音を起点とするサウンド・インスタレーションを展開します。人間の行為によって生じる「環境と共に奏でた音」<Active Environmental Sounds>に注目し、人間が発する音も含めた、より能動的な左運動sケープ体験の創出を試みます。
人間が音を発する行為の瞬間、私たちは自らに主体があるような錯覚に陥るでしょう。しかし、運動と知覚、あるいは行為と認識を同時に捉えたとき、現前する「音の事象」においては、主体が人間の側だけでなく、環境とのあいだに分散していることに気がつきます。単純なインタラクション(Interaction)ではなく、関係性が生成されるインターリレーション(interrelation)。本展を通じて、身の回りの細やかな音の存在に注目することで広がる、個人の感覚や環境との関係性の変化を体験していただきたいです。
ギャラリー「空間」
※展覧会挨拶文より転載

《接触の形跡》
ブルーホール(秋田)
小玉醸造株式会社
2020
《Trace of the Contact》
BLUE HOLE(Akita)
Kodama Brewing Co. Ltd
2020
インスタレーションにおける共感覚的知覚に関する研究
本展覧会における音の主体を捉えた時に、主体と客体の入れ替え可能性=対称性が挙げられる。鑑賞者が発する音はブルーホールが発する音でもあり、またブルーホールに響く音は鑑賞者の身体内部に響く音でもある。つまり、音を捉えることは身体的であり触覚的な行為であることが明らかになった。視覚と聴覚は距離を取って認識することのできる上位の感覚であるのに対して、触覚は触れることでその内部情報まで感じ取ることのできる「ゼロ距離」あるいは「マイナス距離」の感覚である。会場内を歩いて回る時に発生する足音への気づきは、表現される音響と聞き分けることによって、空間のスケールを身体的に感じ取ることができる。また、音響棋譜のグラフィックパターンは、空間に響き渡る表現された音響振動の解釈を促す。以上のことから、インスタレーションの鑑賞体験において、その空間を認識する上での視聴覚感に生まれる「ズレ」をつなぐために、「触覚的体験」を意識的に取り入れることは有効であったと言える。
宮本一行(研究代表者)
※秋田公立美術大学競争的研究費実績報告書より転載










