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《Active Soundmark》

H∞L Gallery(八戸)

八戸学院大学短期大学

2024

《Active Soundmark》

H∞L Gallery(Hachinohe)

Hachionhe Gakuin Junior College

2024

 2024年10月4日、旧美保野小学校において、ワークショップ「校舎の音のタカラさがし」を開催した。この旧小学校は、八戸学院短期大学幼児保育学科棟に隣接した場所に位置しており、幼児保育学科の学生が美術講義に取り組むため、2023年に整備された美術室である。この美術室は、2024年度の運用を以って既に廃止が決定されており、学科棟内に新たな美術室の整備が進められている。宮本は、この場所を記録するための手段として、「この場所と学生たちが共に奏でてきた音」を収集していくためのワークショップを構想した。本ワークショップは、大きく二つの内容で構成している。まず、美術室の様々な「モノ」に触れることで生まれる音を探してみる時間を設けた。参加者は、建築設備や美術教材、遊び道具などに触れながら思い思いに音を出してみる。そして、面白い音を見つけたら一度静かになって、その音を録音していった。次に、録音した音を参加者全員で聴きながら、台紙に貼った画用紙と画材を用いて、好みの音や気になった音を「オノマトペ」として表現する時間を設けた。文字の大きさや形などの表現は自由とし、また画用紙もハサミで切って自由な形に切り出してもらうことで、独自のグラフィックが表現された。

 作品《Active Soundmark》は、ワークショップの成果物である「録音した音」と「オノマトペ」で構成されている。まず、「H∞L Gallery」を共鳴装置とし、本ワークショップで録音した計六十四個の音を鳴らすことを試みた。ギャラリーの四つの壁面に対して、外壁と内壁の間にそれぞれ四つの振動スピーカーを設置した。そして、スピーカーの振動面を内壁に圧着させることによって、ギャラリー自体から音が発せられる状態を作り出した。また、再生するファイル、再生される音の大きさ、および再生時間をランダムに決定する独自のMaxMSPプログラムを用いることで、流動的に変化を続ける「音の擬似環境」を作り出した。次に、参加者が制作したオノマトペをギャラリー内壁にランダムに配置した。そのことにより、旧美保野小学校美術室のサウンドスケープを視覚的にも一覧することができるようにした。

宮本一行・池田拓馬・船山哲郎(2024)『Active Soundmark:行為と接触から引き出す音風景ワークショップ』環境芸術(33)より一部転載

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