《接触の形跡》

ブルーホール(秋田)

小玉醸造株式会社

2020

《Trace of the Contact》

BLUE HOLE(Akita)

Kodama Brewing Co. Ltd

2020

インスタレーションにおける共感覚的知覚に関する研究

本展覧会における音の主体を捉えた時に、主体と客体の入れ替え可能性=対称性が挙げられる。鑑賞者が発する音はブルーホールが発する音でもあり、またブルーホールに響く音は鑑賞者の身体内部に響く音でもある。つまり、音を捉えることは身体的であり触覚的な行為であることが明らかになった。視覚と聴覚は距離を取って認識することのできる上位の感覚であるのに対して、触覚は触れることでその内部情報まで感じ取ることのできる「ゼロ距離」あるいは「マイナス距離」の感覚である。会場内を歩いて回る時に発生する足音への気づきは、表現される音響と聞き分けることによって、空間のスケールを身体的に感じ取ることができる。また、音響棋譜のグラフィックパターンは、空間に響き渡る表現された音響振動の解釈を促す。以上のことから、インスタレーションの鑑賞体験において、その空間を認識する上での視聴覚感に生まれる「ズレ」をつなぐために、「触覚的体験」を意識的に取り入れることは有効であったと言える。

宮本一行(研究代表者)

​※秋田公立美術大学競争的研究費実績報告書より転載